北広島にこやか遺言相続相談室

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Q1-8 最近あちこちで聞く生前対策「家族信託」って何ですか?

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■まず固定観念を捨ててください
家族信託について理解する上で、先に言っておかなければならないことがあります。

1.投資信託や信託銀行など、お金を預けて増やす金融商品のイメージは捨てること
2.これまでの遺言や相続など、民法の知識はいったん忘れること
3.法律と税務は全く別物と割り切ること

特に家族信託について初めて理解しようする方は、これを心がけてください。
なぜならこれまでの民法などの法律とは、全く違う考え方をするため、この3つの固定観念が頭にあると、なかなか正しい理解ができないのです。
むしろ法律に詳しくない人の方が理解しやすいくらいです。

■所有者を「面倒なことをする人」と「おいしいところを持っていく人」に分ける!
「家族信託とは何か?」と問われれば、こういう答えになります。

所有者を「面倒なことをする人」と「おいしいところを持っていく人」に分ける契約である。

例えば賃貸アパートのオーナー(所有者)を例にとって説明してみましょう。
賃貸アパートのオーナーは、「面倒なことをする人」です。
建物の維持・管理、場合によっては売却するかどうかの判断、そのための業者の選定、家賃の管理や、万が一入居者と訴訟になった場合、当事者となるのはオーナーさんです(管理会社ではありませんよ…誤解されている方が多いですが)。

その一方で、「おいしいところを持っていく人」でもあります。
毎月の家賃収入、物件を売った際の売却代金の受け取りなどがこれに当たります。

所有者であるということは、これら「面倒なこと」も「おいしいこと」も、両方しなければならないのです。
しかし所有者が高齢になったらどうなるでしょう?
管理などの「面倒なこと」は、体力的にもきついのでもう息子に任せたい。
でも生活のため、家賃収入などの「おいしいところ」はまだ自分が享受したい。

そんな都合のいい方法があるのでしょうか?

あるんです!

それがこの家族信託なのです。

なお家族信託では
面倒なことをする人=受
おいしいところを持っていく人=受
といいます。

■家族信託をするとどうなるか?
上記のアパートオーナーの例で、家族信託をしたらどうなるでしょうか?

オーナーAさんの希望
1.高齢で管理が大変だから、息子のBに、管理を任せたい
2.でも自分が生きている間は、家賃収入はあくまでも自分としたい
3.自分が死んだら、アパートはBに引き継がせたい

この場合、Aを受益者、Bを受託者として家族信託契約をし、その旨の不動産登記をします。
そうすると不動産の名義人が”便宜上”、Bになります。

A「ちょっと待ってくれ!息子に所有権をやるつもりはまだないんだ!生きている間は家賃は私のものにしたいんだ!」

そんな声が聞こえてきそうですが、上でも述べた通り、この名義移転はあくまでも”便宜上”のもの。
登記簿にはちゃんと「受託者 A」「受益者 B」と記載がされます。
これで
面倒なことをする人=受託者=便宜上の名義人=B
おいしいところを持っていく人=受益者=実質的な所有者=A
ということが、示されるのです。

これによって今後は、賃貸借契約の貸主、売る場合は売主、アパート修繕工事の注文者、家賃滞納や建物明渡請求など入居者を訴える場合の原告として、全ての法律的な手続を、BがBの名前で、Bの判断でできるようになるのです。

■家族信託は様々な使い方がある
以上、とても簡単でありますが、家族信託とは何かについて説明しました。
例としてわかりやすいので、アパートオーナーを例にしましたが、家族信託できるのはアパートに限りません。
例えば実家の一軒家やマンションなどもできますし、不動産に限らず、現金・預金、さらには自分よりペットが長生きしそうでその後のお世話のことが心配という方は、ペットも信託の対象にすることができます。
またその使い方も、遺言の代わり、認知症対策など、さまざまな方法があります。
これについては別の機会にご説明していきたいと思っています。

■家族信託のメリット、デメリット
家族信託のメリットは、何と言っても自由度が高いこと、そして相続や遺言ではできないことができるところです。
例えば上記の例で、Bに妻Cはいるが、子どもはいない場合を考えてみましょう。
通常の相続であれば、遺言により「Aが亡くなったらアパートはBのもの」とまではできますが、「Bが亡くなったらCではなく、二男のDのもの」とすることはできません。
ところが信託は契約なので、そのようなこともできます。

デメリットは、仕組みが難しい上、上記のように自由度が高いため、一般の方が自分で手続するのが難しく、専門家の助けが必要なことです。
いわばオーダーメイドでスーツを作るのに近く、その報酬も、遺言や相続(こちらは既製品の販売に近いと言えます)に比べるとお高めになります。

費用の目安(税別)
          報 酬        実費
信託契約書作成 10万0000円~ 公証人費用 数千円
信託登記     7万5000円~ 土地 固定資産評価額×0.3%
                  建物 固定資産評価額×0.4%

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