Q3-1 私は遺産をもらうつもりがありません。相続放棄すべきですか?
■多くの人が「相続放棄」を誤解している?!
全く個人的な感覚ですが、一般の方が意味を誤解されている法律用語の第1位、それが「相続放棄」です。
相続放棄とは、「遺産をもらわないこと」ではなく、「初めから相続人でないものとみなされる」ことであって、遺産をもらわないことはその結果にすぎないのです。
ん?どういうこと?
では次の項でもう少し具体的に説明します。
■相続放棄は被相続人に借金が多い時にするもの
あくまでも一般論ですが、相続放棄というものは、被相続人に借金が多い場合にするものです。
不動産や預貯金などプラスの遺産がある場合には、通常、わざわざ相続放棄はせず、遺産分割協議で済ませます。
理由は相続放棄の方が手続きが面倒だからです。
遺産分割:協議書に実印を押して、印鑑証明書を提出するだけ
相続放棄:家庭裁判所に相続放棄申述書を提出し、後日照会書に回答、又は、家庭裁判所に出頭する。切手や印紙代も数千円かかる。
■誤解して行った相続放棄によって起こりうる「とんでもないこと」
手続きや数千円のお金の違いだけならまだしも、場合によっては「とんでもないこと」が起こる可能性もあります。
ではここで一つクイズを出しましょう。
クイズ
被相続人Aには、妻B、子C、兄Dがいる。Aの直系尊属(父母、祖父母等)はA死亡の前に他界。
Aの遺産としては不動産、預貯金などがあり、借金はない。
Cは、Bに全ての遺産を譲ろうと思い、相続放棄をした。
この場合、遺産は全てBのものになるでしょうか?
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答:全てBのものになるとは限らない
Cが相続放棄したから全てBのものになるはずでは?
なぜでしょう?
相続放棄をすることで、法律上、Cは初めからAの相続人でなかったものとみなされます(民法第939条)。
するとAは子ども(第1順位相続人)も直系尊属(第2順位相続人)もいないので、第3順位相続人である兄Dと妻Bが相続人となるのです。
したがってDが「俺には法定相続分4分の1あるから預金○○○万円をよこせ」と主張すれば、Bが全ての遺産を相続することはできなくなります。
■まとめ・当相談室では…
このように相続放棄と分割(遺産分割で何も遺産をもらわないこと)は似て非なるものです。
決して安易な判断はせず、必ず専門家に相談して決めるようにしましょう。
当札幌にこやか遺言相続相談室を運営するすずな司法書士行政書士事務所では、司法書士が相続放棄のための書類の作成を行っています。
まずはご相談ください。
報酬・費用の目安(税別)
相続放棄申立書類作成(上申書作成を伴わないもの) 約1万5000円~
相続放棄申立書類作成(上申書作成を伴わうもの) 約2万0000円~
同じ相続につき、相続人2人目以降は約7500円~(相続人全員で放棄する場合は、一度にご依頼いただいた方がお得です)
その他、収入印紙、切手が数千円分。
戸籍等収集 1通1500円~2000円(税別)+実費(450~750円)
遺産分割協議書作成(税別)
相続登記の依頼を伴わない場合 3万0000円~
相続登記の依頼を伴う場合 1万0000円~
相続関係説明図作成(税別)
相続登記の依頼を伴わない場合 3万0000円~
相続登記の依頼を伴う場合 1万0000円~
戸籍等収集 1通1500円~2000円(税別)+実費(450~750円)