Q1-9 家族信託と任意代理契約・成年後見は何が違うのですか?
■代理人か、名義人本人か
前回は、「家族信託とは何か?」ということについて、簡単に説明しました。
ところがある程度、民法などがわかっている人からすると、このような疑問が生まれるはずです。
「管理を任せたり、認知症対策のために家族信託をするというが、任意代理(委任)契約によって管理を息子に任せたり、成年後見によって法定代理人となればよいのではないか?何が違うのですか?」
いい質問です。
一番の大きな違いは、任意代理や成年後見は、(任意or法定)代理人という立場で管理等を遂行するのに対して、家族信託の受託者は、あくまで名義人本人として振る舞う点において違います。
この根本的な違いから、次のような違いが生まれます。
任意にせよ、法定にせよ、代理人だから本人に代わって何もかも思いのままにできるか、と言われると、決してそんなことはない、ということが、これでわかるのではないでしょうか?
■成年後見は原則、本人が亡くなるまで続く
中には「認知症になっても、売る必要がある時になったら成年後見申立をすればよい」と考える方もいらっしゃるかも知れません。
その考え方も、否定はしません。
しかしご注意いただきたいのは、成年後見は申立の動機となった不動産の売却が終わり、必要なくなったから「やめた」と言ってやめられるものではなく、原則として本人が亡くなるまで続きます。
不動産売却以外にも、本人に後見制度を利用する必要性があるのであればいいのですが、このためだけに、というのであれば、やはり認知症になる前にできる対策をしておくことをお勧めしたいのです。
費用の目安(税別)
・信託契約書作成
報 酬 実 費
10万0000円~ 公証人費用 数千円
・信託登記
報 酬 実 費
7万5000円~ 土地 固定資産評価額×0.3%
建物 固定資産評価額×0.4%