北広島にこやか遺言相続相談室

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Q 亡夫は自ら全額100万円出資して株式会社を経営していました。この株式の評価額は100万円ですよね?

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■資本金がそのまま株式の評価額になるわけではない

本件の株式会社は、亡夫が全額出資して経営していたいわゆる「オーナー会社」です
この場合、その株式が遺産として相続の対象となります。
ここでご注意いただきたいのが、例えば設立時に100万円を出資し、登記簿上の資本金も100万円と登記されている会社の株式だから、遺産としての価値も100万円になる、とは限らないということです。

会社が成長して、亡くなる時点で貸借対照表(バランスシート)の純資産(資産から負債を引いたもの)が1000万円になっていれば、株式の価値もざっくり1000万円※、ということです。
※あくまでもざっくりした計算です。税理士が厳密に計算すると差異が生じる場合があります。

■単純に法定相続分通り分ければ良いというものでもない

株式100株の評価額が1000万円とします。
では、これを法定相続分通り分ければいいのでしょうか?

いいえ、そう単純なものではありません。

例えば相続人が妻A、長男Bとします。
この場合、法定相続分はAB各2分の1です。
妻Aは夫の生前からともに経営者としてかかわっており、今後は社長として経営を継続するつもり。
長男Bは会社を継ぐつもりはなく、サラリーマンをしているとします。
これを法定相続分通りに分けてしまったら、長男といえども会社にかかわりのない人に株式を半分握られてしまうことになります。
株式には、役員を選ぶ権利、会社の重要な方針決定(定款変更等)などの権利がくっついています。
ケースバイケースですが、上記のようなケースでは、妻Aに3分の2は持たせたいところです。
したがって、遺産分割の際、妻Bが長男Aに対し預貯金を譲る、代償分割金を払うなどして、会社の事業承継やその後の経営が円滑に進むようにした方がいいでしょう。
例えば妻Aが長男Bに166万円を払い、持ち株比率をA:B=67:33となるようにする、などが考えられます。

■もう会社を閉めたい時は?

では同じ状況で、妻Aも長男Bも経営にタッチしておらず、夫が亡くなったのを期に会社を閉める場合は、何もしなくて良いのでしょうか?

いいえ、そんなことはありません。

この場合は次のような流れになります。
1.株式の遺産分割
2.株主総会を開催し、取締役を選任、解散決議・清算人の選任
3.解散等の登記
4.官報等で解散公告、債権者への個別催告
5.債権の回収・債務の弁済
6.残余財産を株式数に応じて株主に分配
7.清算結了登記
この他、税務署への申告等を行います。

■オーナー会社経営者は遺言等で相続対策を

オーナー会社経営者が亡くなると、このように複雑な手続が発生します。
従業員や継続的な取引先がある場合は、会社運営が停止して迷惑をかけることにもなりかねません。

ではこのような事態を避けるにはどうしたらいいのでしょうか?
計画的に後継者に株式や権限移譲を行うことはいずれ考えていらっしゃるでしょうが、突然の事故等による死亡に備えている経営者は多くありません。
ぜひ遺言等で相続対策をしていただきたいところです。

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