Q 亡夫は株式・投資信託・FX等をやっていました。これらはゼロにはなってもマイナスになることはないですよね?
■信用取引をしている場合はマイナスになることも
証券会社を通じて株式・投資信託・FX等の投資を行っていた方は、注意が必要です。
証券会社との取引のしかたには、大きく分けて次の2通りがあります。
1.信用取引
2.信用取引によらない取引
2の場合はおっしゃるとおり、値下がりして資産価値ゼロになるリスクはあっても、マイナスにはなりません。
しかし問題は1の信用取引です。
信用取引というのは何かというと、簡単に言えば「証券会社から借金して投資をすること」です。
投資は、投資額が多い方が、当然リターンも多いです。
ですので、例えば100万円の保証金を証券会社に入れて、300万円分の投資をする、という方法があるんです。
ところが、差額の200万円はあくまでも証券会社から「お借りしている」ようなもの。
万が一、契約者が突然亡くなり、相続手続に時間がかかっている間に売るべきタイミングを逃したため、投資したものがどんどん値下がりして0円になった場合、その差額200万円は、相続人の負債になってしまうんです。
■負債の方が大きくなれば相続放棄を
負債がプラスの財産よりも大きい場合は、相続放棄によって相続人から脱け出すことも可能です。
しかしそれができない場合もあります。
例えば次のようなケースです。
1.既に遺産分割をし、不動産の名義変更(相続登記)をしてしまった
2.現預金を下ろしてしまった
3.夫が亡くなったことを知ってから3か月が過ぎてしまった
これらの場合は相続放棄ができず、相続人が負債をかぶってしまうおそれがあります。
■信用取引をしている方は遺言等で相続対策を
このような自体を防ぐため、証券会社と信用取引をしている方は、遺言等で相続対策をしてください。
相続手続がスムーズに進むようにしておけば、売るべきタイミングを逃して、資産が負債になることも防げる可能性があります。
相続対策は、決して相続で揉めそうな家族だけがするものではないのです。