北広島にこやか遺言相続相談室

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Q 相続登記しないと罰金を取られ、前科がついてしまうのですか?

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■とられるのは「罰金のようなもの」

2024年4月1日施行の相続登記義務化につき、よくある誤解です。
相続登記を怠った場合、罰則はありますが、罰金は取られません。
ただし「罰金のようなもの」は取られます。
どういうことか解説していきましょう。

法律の世界で「罰金」というと、刑事上の罰のことです(刑法15条)。
例えば泥棒、人の物を盗んだ場合、刑法235条の窃盗罪に当たり「10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する」と書かれています。

このように刑事上の罪を犯した場合に科せられるものを法律の世界では罰金というわけです。
一方、今回の改正で相続登記を怠ると科されるのは、10万円以下の「過料」です。
この過料というのは刑罰でなく、行政罰なんです。
刑罰ではないので、前科もつきません。
また同音異義語のこちらの「科料」(とがりょう)と区別するため「あやまち料」と呼んだりもします。


※1 刑法15条
※2 刑法17条

ちなみに登記には不動産登記と法人登記の2種類があります。
不動産登記については現在、期限や罰則はありません。
ですが会社をはじめとする法人登記には、原則、何か変更があった、例えば会社の名前を変えた、などの場合には2週間以内に登記しなければならないという期限があります。
これに遅れた場合には100万円以下の過料が科されることがあります。
不動産登記の方も今回相続登記が義務化され、原則として10万円以下の過料(改正不動産登記法164条)が科されることになります。

■過度に恐れる必要はない

「えっ?相続登記しないだけで10万円取られるの?やだな」
と思われている方もいるかも知れません。
ただ一般の皆さんがそこまで戦々恐々とすることはないのではないか、と思っています。
というのは、この罰則が適用されるのは「正当な理由がない」場合に限られているんですね(改正不動産登記法164条)。
そしてこの法律が国会で可決される時の付帯決議で、「正当な理由」の有無の判断や過料の適用においては「柔軟な対応を行うこと」とされています。
なのでこれはあくまでも個人的な予想なんですが、一日でも期限を過ぎたら即、過料、というようなガチガチの運用にはならないと思います。
それともう1つ、そこまでおそれる必要がない理由があります。
なぜならこの罰則には、「逃げ道」があるからです。
それはこちらのページで解説します。

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