Q 封印された自筆証書遺言を開封すると無効になるのですか?
■自筆証書遺言を開封すると無効?
先日亡くなった夫の部屋を整理していましたら、封筒に入った自筆証書遺言を見つけました。
どんな内容なのだろうと開けましたら、一緒に作業していた息子に怒られました。
「母さん何やってんだ?!封筒に入った遺言を開けたら無効になってしまうよ!」
私はそんなこととはつゆ知らず、とんでもないことをしでかしてしまったようです。
息子の言っていることは本当でしょうか?
■無効にはならない。が…
自筆証書遺言を発見した場合、家庭裁判所で検認を受ける必要があります(民法第1004条第1項)。
※法務局に保管した自筆証書遺言(遺言書保管法第11条)や、公正証書遺言(民法第1004条第2項)では検認不要。
実は法律上は、その検認の手続の場で、封筒を開けなければなりません(民法第1004条第3項)。
では検認前に、封筒に入った自筆証書遺言を開けてしまうと、その遺言は無効になるのか、と問われればNO。
無効にはなりません。
ただし5万円以下の過料に科せられるおそれがあります(民法第1005条)。
※この「過料」(かりょう。「あやまちりょう」とも)は刑事罰の罰金とは違いますので、前科はつきません
また無断で開封することで、他の相続人から遺言に改ざんを加えたことを疑われるきっかけにもなりうるので、見つけたらすぐに家庭裁判所で検認の申立てをしてください。
検認をするには、亡くなった遺言者の出生~死亡までの戸籍等を集める必要等があります。
手間がかかるので、司法書士への依頼をお勧めします。