北広島にこやか遺言相続相談室

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Q 親から私への不動産の生前贈与。デメリットは?

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■とにかくお金がかかる!

生前贈与のデメリットは大きく3つです。

1.名義変更”だけ”で税金15倍
2.さらに高い贈与税(10%~55%)がかかる
3.税理士費用がかかる

1つ1つは後ほど解説します。
が、その前にお伝えしたいことがあります。

■生前贈与は専門家に相談せずにやるな

「生前贈与ほど、自分でやれる(かも知れない)けど、やらない方が良いものはない」
これは私が考えた格言です。
厳しい言い方ですが、適切な専門家に相談せずに生前贈与しようとする方が多すぎる、というのが私の個人的な感想です。

生前贈与そのものははっきり言って簡単です。
あげる人「あげます」
もらう人「もらいます」
これで成立します。
またそれを手続に移す、つまり不動産の名義変更(所有権移転登記)もそこまで難しいものではありません。
大事なのは「だから簡単」ではなく、「だからこそ怖い」ということなのです。
なぜなら何のために贈与をするのか?、それに伴いどんな税金がどれくらいかかるのか(税務)※を考えると、必ずしも贈与が最適解ではないケースも多々あるからです。
※税理士の協力をいただく場合があります
当事務所ではこうした観点から、相談者の目的と贈与という手段が当っていなければ、贈与自体の再考をおすすめすることがあります。
この点をご理解ください。
さて本題です。

■生前贈与のデメリット

1.名義変更”だけ”で税金15倍
「親が亡くなってから相続登記」と比較すると、税金は15倍かかります。
名義変更(登記)する際の登録免許税について言えば、贈与は2%、相続は0.4%。
また贈与後、数か月後に発生する不動産取得税については、贈与は4%※、相続では無税です。
※軽減措置等は考慮しないものとする
例えば1000万円の不動産の場合、次の通りです。

贈与
登録免許税20万円+不動産取得税40万円※
=60万円
※軽減措置等は考慮しないものとする

相続
登録免許税4万円+不動産取得税0円

2.さらに高い贈与税(10%~55%)がかかる
贈与税率は、贈与する不動産の評価額により異なりますが、下記の通りです。
例えば1000万円の不動産の場合、贈与税は177万円となります。


国税庁HP No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)より<特例贈与財産用>(特例税率)

3.税理士費用がかかる
実は上記2については、一定の要件※を満たせば「相続時精算課税制度」が利用可能です。
この制度は2500万円までなら贈与税を課税せず、あげた人が亡くなった後に相続税として課税するというものです。
その他、配偶者間の贈与の場合は配偶者控除、それらが使えない場合は、通常通り暦年贈与による贈与税が課されます。
いずれにしても、不動産を贈与をすれば、通常は何らかの申告は必要、とお考え下さい。
そうなると税理士への依頼費用がかかることになります。

もちろん税理士に依頼せず、税務申告書作成することは禁止されていませんが、その場合は相応の手間・時間・労力は当然かかります。
税理士と言う職業が成り立つ程度には専門的な分野ですからね。

※相続時精算課税の条件
1.60歳以上の父母または祖父母などから、18歳以上の子または孫などに対する贈与
2.贈与を受けた年の翌年の2月1日から3月15日の間に一定の書類を添付した贈与税の申告書を提出

■では贈与の依頼は受けないのか?

ここまで読んできて、「じゃあこちらの事務所では生前贈与の依頼は受けないのですね?」と思われるかも知れません。

いいえ、そんなことはありません。

これらのデメリットをわかった上で、それでも希望されるなら、お受けします。
例えば過去のご依頼者の中には

「デメリットは理解した。お金はかかってもいい。生きているうちに名義を変えて気持ちをすっきりしたい

という方がいらっしゃいました。
もちろんその方から、ご依頼はお受けしました。
こうした気持ちを汲み取って形にするのが、司法書士の仕事だと思っています。

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