Q 親から相続した実家不動産は空き家です。どうしたらいいでしょうか?
■3年以内に売却がおすすめ
実家は北海道、子ども達は東京で就職等の事情で、親が亡くなった後、実家が空き家になることがあります。
こんな場合、どうしたらいいのでしょうか?
結論としては、すぐに売却してしまうのがお勧めです。
なぜなら次の理由から空き家は傷みが早いからです。
・換気しないことで湿気がたまる
→カビが畳や柱、壁に生える、ダニ、細菌の温床に。
・乾いた排水管から害虫・害獣
→水を使わないため、排水管のトラップという部分にたまっていた水が乾きます。
ここから害虫やネズミ等の害獣が侵入します。
・草刈り等がされない
→伸び放題の雑草に害虫が寄る、不法投棄の誘発。景観の損失。
ですので、なるべく早く売るのがお勧めです。
目安は3年以内です。
なぜなら不動産が高く売れた場合にかかる譲渡所得税につき、「空き家特例」による控除(3000万円)が使えるのが、相続開始から3年を経過した年の12月31日までだからです。
■空き家特例の要件
譲渡所得税がかかるのは、おおまかに説明すると次の場合です。
土地:売れた価格-買った時の価格>0の場合
建物:売れた価格-(買った時の価格-減価償却)>0の場合
実際には、譲渡費用といって、各種の経費(売るためにかかった不動産業者の仲介手数料、測量費用等)を差し引けますが、おおざっぱな目安としてください。
また上記の空き家特例の控除が使える要件は、主に次の通りです。
・1981年5月31日以前築
・マンションでないこと
・ 相続開始後賃貸・居住等に利用していないこと
・ 売却先が親族等ではないことなど
当事務所ではご希望の方に、売却のための不動産業者、譲渡所得税申告のための税理士※もご紹介しています。
※空き家特例に該当する場合でも、申告して初めて適用があることにご注意ください。
■売却しないなら適切な管理を
しかし中には、何らかの事情で、売却を希望されない方もいらっしゃいます。
過去の依頼者の中には、「亡くなった父の思い入れのある家なので、しばらくは残したい」という方がいらっしゃいました。
また「今は東京にいるが、いずれ地元に帰るつもりで、その際はこの家に住みたい」という方もいらっしゃるでしょう。
その意思はもちろん、尊重されるべきです。
ですが上記の通り、空き家は傷みが早いです。
その間、定期的に帰省して空き家を点検するか、地元の不動産業者に依頼するなどして、適切な管理を行う必要があります。
最近では、ふるさと納税の返礼品として、空き家管理サービスを提供する自治体が増えているそうです。
マネーポストWEB
ふるさと納税返礼品に「空き家管理サービス」が増加中 相続した実家を自己負担2000円で手入れするという選択