Q 遺言を書きます。不動産は住所を書けば特定できますよね?
■不動産は住所ではなく地番・家屋番号で特定を
前提として押さえなければならない知識があります。
「あなたの住んでいる家はどこですか?特定してください」と言われたら何と答えますか?
住所を答えますね?
ところが不動産の登記(名義変更)を行う法務局では、皆さんが日常で使うこの「住所」では特定しないんです。
何で特定するかというと、土地については所在・地番、建物については所在・家屋番号というもので特定します。
この所在・地番・家屋番号というのは住所とは原則異なります。
(ただし一部、一致させている自治体があります。北広島市もその1つです)
土地の登記簿のサンプル(赤で囲った部分が所在・地番)
建物の登記簿のサンプル(赤で囲った部分が所在・家屋番号)
もし興味がある方がいれば、あなたのご自宅の管轄の法務局に行ってみてください。
法務局にゼンリンさんの「ブルーマップ」というものが置いてあります。
それを見ると、この住所にある不動産の地番はこれですよ、というのがわかるようになっています。
さてここから本題ですが、遺言の中に不動産がある場合、最終的には法務局で名義変更、登記をするわけですから、当然法務局に合わせなければなりません。
ところが一般の方が自分で作成した遺言では、ほとんどの場合、この不動産を地番・家屋番号ではなく、住所で指定してしまっています。
ですので、この遺言に基づいて登記申請する場合は、一工夫必要です。
私が過去に受けた案件では、その住所に該当する土地・建物が他にないことをブルーマップのコピー等で示して、「地番・家屋番号ではなく住所で書いていますが、この不動産は申請したもの以外に考えられないですよね」という旨の上申書を添付して登記申請を通した経験があります。
しかし地方に行くと住所だけで不動産が特定できないケースもあります。
そのような場合には、その遺言書で登記申請が通るかどうか、ケースバイケースの判断になるので不確定になります。
ですので遺言の不動産はきちんと登記簿通りに記載することお勧めします。
出典:法務省ホームページ
2019年1月13日以降に作成された自筆証書遺言では、財産目録のみパソコン作成でも可能となっています。
ですので、上図のように登記簿をコピーした上で、署名捺印したものを使うのが手っ取り早いとでしょう。