北広島にこやか遺言相続相談室

「教えて!goo」司法書士部門回答数第1位の司法書士・行政書士が運営する、相続登記・遺言・家族信託をにこやかに進めたい皆さんのためのサイトです。

運営:すずな司法書士行政書士事務所
北海道北広島市西の里北4丁目6番地5
TEL 011-555-7717  FAX 011-351-5590
URL:http://suzuna-office.com/

Q 相続登記しないと不動産を国に没収されると聞いたのですが本当ですか?

Pocket

■大嘘です

です。
大嘘です。

そんな法律はありません

2024年4月1日から開始した相続登記義務化には、多くの国民が関心を寄せていただいています。
それはありがたいですし、良い傾向だと思っています。
ですが、直接関係ない他の制度と混同して、誤った理解をしているように見受けられる方もいらっしゃいます。

 

私が思うに、この「相続登記しないと不動産を国に没収される」という誤解は、次の2つの制度との混同が原因のようです。

(1)相続土地国庫帰属制度

2023年4月27日から開始した制度。

相続した土地を申請し、承認されれば国に引き取ってもらうことができます。

引き取ってもらう際に、最低20万円の管理費を払わななければなりません(「国が買い取る」は誤り)。

あくまでも土地を相続した人からの申請があって、初めて国のものとなるのであって、没収されるわけではありません。

関連 Q 不要な土地を国に引き取ってもらう手続の手順を教えてください

(2)相続人不存在による国庫帰属

亡くなった方(被相続人)に相続人がそもそもいない、または、第三順位までの相続人が全員、相続放棄してしまった場合は「相続人不存在」となります。

ただし相続人不存在だからといって、自動的に国のものになるわけではありません。

奇特な利害関係人が、数十万円の予納金を自腹で払って、相続財産清算人が面倒な手続と時間をかけてもなお不動産が残る(売れない等)ようであれば、ようやく国のものになる、というのが正しい理解です。

(したがって相続人のものでも、国のものでもない、「宙に浮いた」不動産は、相当数あると推定されます)

この点、相続登記を怠ったからといって、自動的に相続人でなくなるわけでもありません

関連 Q:私はおひとりさまで、相続人となる人がいません。どうせ国に寄付されるのだから、遺言なんて要らないですよね?

 

相続登記は3年以内の期限内に行うのがもちろん決まりですから、順守はお願いしたいです。

ですが、「国に没収される」という嘘には惑わされないでください

■弁護士ですら誤解?!

ここからは余談です。

先日、びっくりしたことがあるんです。
TikTokを見ていましたら、ある人がこの誤解、「相続登記が義務化されたことにより、何もしなければ国に不動産を没収されます」という旨の解説をしていました。

上記の通り、これは嘘です。

問題はここから。
それを言っていたの、誰だと思いますか?
「どうせわけのわからない無資格のコンサルか何かでしょ?」と思うじゃないですか?

何と…弁護士なんですよ。
思わずニセ弁護士じゃないかと思って、日弁連のサイトから検索をかけましたが、登録はされていましたので、本物の弁護士です。

※弁護士として活動する人は必ず日本弁護士連合会(日弁連)に登録する義務があります。

登録の有無はこちらのページで誰でも照会可能です。

さすがに弁護士さんが、こんな誤った法律の解釈をするとは思えません。

ですので、おそらく“バズらせる”(拡散して注目を集める)ためにわざと間違えた情報を発信したのでは?と見られます。

私もYouTuberなので、注目を集めるために「飛躍した表現」をすることはたまにあります。

なので、気持ちはわかります。

が、きちんと後で理由は説明しています。

個人的には、この弁護士さんの表現は「ちょっとやりすぎかな?」という感想です。

 

Pocket