Q 遺産分割で揉めてしまったら、どんな手順で解決されるのですか?
■裁判外交渉→調停→審判の3ステップ
遺産分割は、相続人全員で円満に話し合って成立させるのが理想です。
ですが、残念ながら遺産の分け方で相続人同士が揉め、まとまらないこともあります。
この場合、どのような手順で解決することになるのでしょうか?
一般的に次の3ステップを踏みます。
①裁判外交渉
②調停
③審判
それぞれ詳しく解説していきます。
■①裁判外交渉
弁護士に代理人になってもらい、裁判外での協議成立を試みます。
「相続人本人達が直接話し合ってまとまらなかったんだから、弁護士を立てても同じでは?」
と思う方もいるかもしれません。
が、これで上手く行く場合もかなり多いです。
なぜなら弁護士とって、相続争いはいい意味で「他人事」だからです。
相続人同士では、遺産分割に関係あること・ないこと含め、過去の蒸し返し・感情論が入り混じって上手く行かない話し合いも、弁護士が代理すれば、法律論のみに集中されるため、円滑な和解が期待できるのです。
1点、注意点があります。
それは弁護士は「正義の味方」ではない、ということです。
ここで言う「正義の味方」とは、「公正中立な立場で、双方にとって妥当な解決を行う者」という意味です。
弁護士はあくまでも依頼者(にとっての正義)の味方です。
したがって、相手方(他の相続人)が弁護士を立ててきた場合は、こちらも弁護士を立てるのが理想です。
少なくとも相手方弁護士が提示してきた和解案を鵜呑みにはせず、一度は別の弁護士に相談することをお勧めします。
■②調停
家庭裁判所で調停委員が助言しながら和解を促します。
調停委員とは、いわば「相続争いのご意見番」です。
非常勤の裁判所職員で、弁護士※など、民間から選出された社会経験豊富な調停委員が、公正かつ中立的な立場から、合理的な解決策の提案をしてくれることが期待できます。
※相続人の代理人としての弁護士は依頼者の味方ですが、調停委員としての弁護士は公正中立です。
■③審判
裁判の判決に近いイメージです。
各当事者から出された資料をもとに、家庭裁判所に遺産の分け方を決められてしまいます。
基本的には法定相続分通り、バッサリ分割することになります。
このため不動産のような分けづらい遺産が半分以上を占めると、売らざるを得ない場合もあります。
■当事務所では弁護士の紹介をしています
一般には、②調停③審判に移行しても、①の弁護士が代理します。
もちろん途中交代や、途中から弁護士をつけることもできます。
とはいえ、できれば①の段階で決着するのが望ましいので、当事者でまとまらなければ、すぐに弁護士に相談しましょう。
なお相続争いを代理できるのは、弁護士だけです。
当事務所では、相談者から希望があれば、弁護士をご紹介しています。
紹介料等は一切、いただきません。