Q 不要な土地を国に引き取ってもらう手続の手順を教えてください
■相続土地国庫帰属制度とは?
2023年4月27日から始まった相続土地国庫帰属制度が始まりました。
まずこの制度が何なのか説明します。
この制度を一言で言うと、「不要な土地を国に引き取ってもらう制度」です。
なぜそのようなそのような制度が必要なのでしょう?
それは、売却・建築等で活用されない土地があると、わざわざ名義変更するのを敬遠され、所有者不明土地が増加してしまうからです。
これを防ぐため、国に引き取ってもらう制度が創設されました。
■相続土地国庫帰属の承認申請の手順
1.現地へ行き、隣の土地との境界がわかる部分など、様々な角度から写真を撮る
2.土地の所在地がわかる地図を作る
3.法務局に予約して、承認審査の見通しについて相談する
4.印鑑証明書等、必要書類を揃えて申請する。審査料は1筆1万4000円
5.法務局が現地調査等を行う。審査期間は半年から1年
6.審査が認められた場合、1筆20万円からの管理負担金を納める
7.国が引き取り、名義変更をする
詳しくは法務省公式HPの 相続土地国庫帰属制度のご案内 をご覧ください。
(上記1~2の画像も同ページから引用)
■引き取れない土地も…
では早速申請を…と言いたいところですが、ちょっと待った。
実はこの制度、実は色々とハードルが高いんですね。
①相続または相続人への遺贈によって取得した土地が対象
売買・贈与等で取得した土地は対象外です。
②建物や樹木等は要撤去
これだけで100万円以上はかかるでしょう。
③審査料1万4000円は引き取り不承認でも返還されない
④国が「買い取る」のではなく、地主がお金(管理負担金)を払って引き取ってもらう
あとは価値観の問題でしょう。
相続登記(相続による不動産の名義変更)は、2024年4月1日から義務化されます。
つまり手放したいと思うほど市場性のない土地であっても、今後は相続登記を放置することはできず、子々孫々まで名義変更しなければならない、ということです。
その手間を子・孫・ひ孫・玄孫…に負わせるのか、自分の代で止めるのか、という比較として考えれば、あながち取りえない選択肢ではないと思います。
しかし、制度や手順、必要なことをわからずに進めると、予想外の結果にならないとも限りません。
司法書士に相談して進めることをおすすめします。