Q 相続するか放棄するか決めるため、故人の借金の有無を調べる方法はありますか?
■信用情報機関に開示請求すれば可能
誰かが亡くなり、自分が相続人となった場合、気になるのはその故人(法律では被相続人といいます)の借金の有無です。
借金がプラスの遺産よりも多く、それを引き継ぎたくない場合は相続放棄することになりますが、その期限は原則、亡くなったことを知ってから3ヵ月以内(熟慮期間)です。
この熟慮期間を過ぎると、自動的にプラスの遺産もマイナスの遺産も相続したことになってしまいます(これを法定単純承認といいます。例外はいくつかあります)。
この点、長年同居していた配偶者等であれば通常、普段の会話や残された郵送物等から故人の借金の有無は何となくわかります。
問題は兄弟姉妹・甥姪など、長年交流がなかった人が被相続人の場合です。
この場合、調べる手段はあるのでしょうか?
実はあります。
それが信用情報機関への開示請求です。
信用情報機関とは、借金やクレジットカード、ローンの契約や支払状況(滞納の有無)を管理する機関です。
俗に借金やクレジットで滞納すると「ブラックリストに入る」と言われますが、それはこの機関に滞納情報が残ることを指します。
日本には3つの信用情報機関があります。
それぞれに対し、所定の用紙に記入し、相続人であることがわかる戸籍等や身分証明書(運転免許証・マイナンバーカード等)コピーを添付して、手数料を納めると、1週間~10日で情報が開示されます。
下記から所定用紙や必要書類リストをダウンロード・印刷して開示請求してみてください。
有料にはなりますが、当事務所で開示請求のための書類作成代理も行っています。
主に消費者金融からの借入情報 手数料1000円
CIC:
主にクレジットやローンの利用状況 手数料1650円
住宅ローン等、主に銀行からの借入情報 手数料1200円
■個人からの借金は調べられない
「信用情報機関への照会の結果、債務はなかった。これで安心して遺産を受け取れる」
と言いたいところですが、一点注意が必要です。
それは親族・知人等、個人からの借金は上記の開示結果に載らないということです。
これについては、被相続人が持っていた書類・郵送物等からそれを窺わせるものがないか、調べてみるくらいしか方法はありません。
ただし一般論として、親族・知人からお金を借りるのは、消費者金融やクレジットカードのキャッシングが限度額を超え、借りられなくなった後です。
ですので、信用情報機関に滞納情報がなければ個人からの借入もない可能性が高い、ということは言えると思いまう。
それでも「実は借金があり、その債権者である個人から相続人宛てに督促が来た」という場合は、どうしたらいいのでしょうか?
その場合は、次のような対処が考えられます
1.債務の存在を知らなかったことにつき正当な事情があることを説明して相続放棄を申し立てる
2.消滅時効が成立している場合には、債権者に援用通知を送る
詳しくは下記のページをご参照ください。
Q 父が生前、借金をしていることが督促状によって発覚しました。3か月以上経過しているので相続放棄できないのですか?