Q2-4 相続人の中に未成年がいます。親権者が代わりに遺産分割していいですか?
■親権者が何でも代わりにできるわけではない
未成年の子がする法律上の行為は、親権者が法定代理人として代わりに行ったり、未成年に同意を与えて行うことができます。
しかし全ての行為を、親権者が代わりに行えるわけではありません。
例えばAさんが亡くなり、妻B、未成年の子C、Dが相続人となった場合、BはCとDの母であり、親権者ですが、代わりに遺産分割協議書に印鑑を押すことはできません。
なぜなら、このケースではBも相続人なので、遺産分割についてどちらが多くもらうか、CDと利害が対立するからです。
これを「利益相反」(りえきそうはん)といいます。
■利益相反の場合は特別代理人が必要
ではどうやって遺産分割協議したらいいのでしょう?
このような場合、家庭裁判所に申し立てて特別代理人を選任してもらい、その特別代理人が協議に参加するのです。
なお申立の際には、同時に特別代理人の候補者を立てますが、これは親族等でも構いません。
ただし本ケースのように未成年の子が2人いる場合、CDそれぞれに別の特別代理人が必要です。
■特別代理人が不要なケースもある
なお次のような場合は、特別代理人が不要です。
例外1 BがAと既に離婚し、CD双方の親権をBが持っている場合
BはC又はDの代理にはなれます。もう一方には特別代理人が必要です。
例外2 CDの一方又は双方が一度でも婚姻した経験がある場合
一度婚姻すると、成年とみなされますので、その未成年は自分の意思で遺産分割協議に参加できます
なお当事務所では、特別代理人選任申立書の作成も行っています。