Q:私はおひとりさまで、相続人となる人がいません。どうせ国に寄付されるのだから、遺言なんて要らないですよね?
■推定相続人がいない人の相続は?
昔は身寄りのない高齢者とか、天涯孤独な人、という言い方をされてきましたが、最近では「おひとりさま」とポジティヴな言い方が好まれているいるようです。
このページでは、推定相続人がいない人、つまり、結婚もしていない(または離婚した)、子どももいない、両親・祖父母、兄弟姉妹、甥姪も一人もいない人に絞って話を進めます。
親や兄弟姉妹や甥姪がご存命であれば、その人達が推定相続人(今、あなたが亡くなったら相続人となるであろう人)となりますので、当てはまりません。
■ぜひ遺言を!
上記に当てはまる方は、ぜひ遺言をして、お世話になった方に遺産を遺贈します、とか、慈善団体に寄付します、と残してほしいんです。
で、ここでこういう声が聞こえてきます。
「相続人がいない人の遺産は、国のものになるんでしょ?僕はそれでいいよ」
もうね、声を大にして言いたいんですよ。
「そんな簡単に考えないでくれ!」
実はこの問題ほど、専門家と一般の方の認識に隔たりがあるものはないのです。
皆さん、イメージ的にこんな感じで考えてません?
「あー、この人、相続人がいないんですねー。じゃあ国でもらっときますー」みたいな。
■おひとりさまの遺産が国のものになるまでの手続はめちゃくちゃ長くてハード
これは相続人がいない方の財産が国庫に帰属、つまり国のものになるまでの流れです。
細かくは長くなるので説明しませんが、とにかくめちゃくちゃいろんな手続を踏むうえ、時間もかかるのがわかりますか?
どんなに素早くやっても13カ月以上かかるわけです。
これが遺言を書くだけで、回避できる。
すごくないですか?
■遺言がボランティアになる
これを財産が少ない人こそ、やって欲しいんです。
なぜかわかりますか?
先ほどの図にある相続財産管理人選任の申立。
この時点で家庭裁判所に20~100万円の予納金を納めなければならないんです。
財産少ないと見合わないですよね?
だから遺言してほしいんです。
ここまでくると、もはや遺言を書くことがボランティアとすら言えるんじゃないかと思います。
■補足:2021年改正による変更
※この動画で解説している内容は、改正により2023年頃までに次の通り変わります。
1.名称が相続財産管理人から相続財産清算人に変更
2.13カ月かかる手続が6カ月に短縮
詳しくは法務省HPのこちらの資料P43を参照。
ただしそれでもかなり面倒な手続であることに変わりはないので、やはり遺言を書く必要性はなくなっていないと言えます。
https://www.youtube.com/shorts/aXIWkPkQtxU