当事務所代表・玉川が北海道新聞の取材を受けました(自筆証書遺言保管について)
■初日に遺言保管で道新の取材
2020年7月10日、ついに民法の相続分野改正の目玉とも言うべき、法務局での自筆証書遺言保管制度が始まりました。
当事務所の代表・玉川は、その初日に、自らの遺言を保管申請したところ、北海道新聞から取材を受けました。
北海道新聞「⾃筆遺⾔の保管始まる 札幌では5⼈が⼿続き」
(2020年7月11日朝刊)記事より抜粋
札幌法務局で⼿続きを⾏った北広島市の司法書⼠、⽟川和(のどか)さん(44)は妻と未成年の⼦供がいるといい、「万が⼀のために⽤意した。顧客から遺⾔の相談を受けるので、体験しておく必要もあると思った」と話した。
実際に保管してみての感想
1.高齢者に不向き?
保管申請はインターネットでの予約制。また遺言者が自ら出頭する必要がある。
ネットを使ったことがない方や、法務局まで行けない高齢者等は難しいかも知れません。
逆に20~50代の現役世代の方は、ぜひどんどんやって欲しいです。
保管費用も3900円とリーズナブルです。
2.通知制度がすごい!
保管申請書に、「死亡時の通知の対象者欄」というチェック項目があります。
来年から運用が開始するらしいのですが、市役所に死亡届が出されると、法務局に通知がされ、遺言保管者でこの項目にチェックをした場合、対象者(遺産をもらう人や遺言執行者)に通知がされるようになります。
実はこれはすごいことです。
例えば生前は遺言の内容や存在は秘密にしつつ、死亡時にはすぐに遺言がある旨を知らせるべき人に知らせることができる、ということです。
公正証書遺言にはこの通知制度はありません。
「公正証書遺言があるかもしれない」と思った相続人が、公証役場に自ら出向いて調べる必要があります。
また遺言の存在やその内容を生前は秘密にすることに関しては、公正証書の場合、現実的に難しいです。
秘密にしようと思えば、遺言時に発行される正本と謄本を破棄するということが考えられますが、そうなると遺言の存在自体に気づかれないという危険もあるからです。
この他、秘密証書遺言という方法もありますが、あまり使われていないようです。
3.家裁での検認は不要になる、が…
もう一つの目玉として、法務局で自筆証書遺言を保管すると、遺言者死亡時に通常必要な家庭裁判所での検認が不要になる、という点が一般的には挙げられています。
しかし私から言わせれば、メリットはほとんどありません。
なぜなら検認が不要になる代わりに、法務局に遺言者の出生~死亡の戸籍を集めて提出しなければ、遺言書情報証明書(保管した遺言の写し)がもらえないからです。
手間はそこまで軽減されません。
4.保管の所要時間
所要時間は1時間程度。細かい部分での手直しは若干あったが、概ねそのまま保管される。
ただしこれは私がプロだからであり、一般の方が専門家のチェックを経ずに保管しようとするともう少し時間がかかるかも知れません。