北広島にこやか遺言相続相談室

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3.遺産分割と何か。またその注意点

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■遺産分割の基準とは?
これまで説明した通り、相続は、誰かが亡くなった瞬間に始まり、その割合は法定相続分によることとなります。
しかしこの法定相続分は、あくまでも過渡的なものです。
相続開始後、相続人全員で話し合い、どの相続人がどの遺産を承継するか決めることによって確定します。
遺産分割の効力は相続時(被相続人が亡くなった時)にさかのぼります。

この遺産分割は何を基準に行われるのでしょう?
これについてはケースバイケースなので、一概には言えません。
法定相続分に沿った分け方にしなければならないというのものでもありません。
全員が納得しているのであれば、「全ての遺産を長男が相続する」とする遺産分割も有効です。
(ただし遺産分割が揉めて、調停などに持ち込まれた場合は、法定相続分を基準に進められます。あくまでも上記は任意での遺産分割の話です)
民法第906条には、「遺産に属する物又は権利の種類及び性質、各相続人の年齢、職業、心身の状態及び生活の状況その他一切の事情を考慮して」とありますが、では具体的にどういうケースならどう分けるのかという細かい決まりがあるわけでありません。
一応、一般的な基準を申し上げておきます。

1.不動産は共有にしたり、土地・建物で所有者が違うという事態を避ける
不動産取引の性質上、土地だけ、建物だけという売却や、共有持分だけの売却は現実的に難しいです。
将来売ることを検討した場合、相続人同士で意見が分かれて売却の話が宙に浮くという事態は避けるため、不動産は単独所有が原則です。
(法律の世界には「共有は紛争の母」という格言があります)

2.使う人が使う物を引き継ぐ
これも当然と言えば当然ですが、被相続人である父が亡くなった後、その妻が自宅に住み続けるのに、自宅の名義が別居の長男、となると管理維持やその費用負担の件で揉めるおそれもあります。
親子といえども、いえ、親子だからこそ、トラブルの火種は作らないようにしましょう。

3.賃貸不動産の相続開始から遺産分割までの間の家賃は遺産ではない(最判平成17年9月8日)ので、これについても帰属を明らかにする

4.預金・現金は、最後の調整に使う
預金・現金は分けやすく、使う人を選ばないものなので、例えば母は不動産(1000万円相当)をもらう代わりに2人の子どもは預金を500万円ずつという風にすれば、法定相続分に沿った分割になります。
このように最後の調整として使う方がよいでしょう。

5.分割代償金の分割など、将来の約束はしない
分割代償金(いわゆるハンコ代)を月○万円ずつ10年にわたって支払うなど、途中で履行されなくなってトラブルになるような遺産分割は避けることをおすすめします。
なぜなら遺産分割について債務不履行があって、売買契約などのように契約解除はできない(最判平成元年2月9日)からです。

■こんな遺産分割は無効です
次に、そもそもが無効となってしまう遺産分割があります。
それを見ていきましょう。

1.相続開始前の遺産分割
人が亡くなって初めて相続が開始するのですから、その前に遺産分割をしても当然無効です。

参考ページ
Q2-5 父の生前、家族みんなで遺産の分け方を決めたのに、死後、一人が「そんな約束は無効」と言い出しました。今さらおかしくないですか?

2.相続人全員が参加していない遺産分割
たとえ行方不明、生死不明の相続人がいたとしても、戸籍上は生存している以上、全員が参加していない遺産分割は無効です。

参考ページ
Q 相続人の一人が行方不明で遺産分割協議ができません。どうしたらいいですか?

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