北広島にこやか遺言相続相談室

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Q1-3 生き別れの子どもに遺産を残すべきですか?

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遺言書を作ろうと思いますが、私には何十年もの間、全く交流のない生き別れの息子がいます。
彼にも遺産を残すべきでしょうか?

■まず判断の前提となる法律知識を押さえましょう
とても難しい質問です。
なぜなら法律知識で答えられる部分と、そうでない部分がありからです。
まず法律知識で答えられる部分からお答えします。

事例設定
相談者A
相続人になる予定の人 妻B、長男C、次男(生き別れ)D
相談者の財産 1600万円
(内訳)不動産(自宅)評価額800万円、預貯金800万円

1.次男Bに遺産を残さないとする遺言は有効
形式がきちんと整っていれば、Dに遺産を残さず、Bに不動産、Cに預貯金全部を相続させる遺言は有効です。
しかし遺言が有効=相続トラブルが起きない、というわけではないのです。

2.次男Dには遺留分がある
相続には、残された家族の生活保障の意味もあるため、兄弟姉妹を除く相続人には、最低限確保されるべき相続分が認められています。
これを遺留分(いりゅうぶん)と言います。
Dの場合、法定相続分である4分の1のさらに半分である8分の1、つまり200万円相当分が遺留分となります。

3.相続廃除は簡単に認められない
では例えばDがさんざん親に迷惑をかけたドラ息子であっても、この遺留分はあるのでしょうか?
民法第892条によれは、「虐待」「重大な侮辱」「その他の著しい非行」があった場合は、相続廃除によって遺留分を含む相続権を奪うことができるとされています※。
しかしこの相続排除は、簡単に認められないことにご注意ください。
なぜなら相続排除には家庭裁判所への申立が必要ですが、廃除された人に異議申立されると、重大な犯罪行為を犯して刑務所に収容されているようなことがなければ、相続権が剥奪されることは稀だからです。

※戦前の「勘当(かんどう)」(旧民法第742条・749条)に近いと思われるかも知れませんが、親子の縁まで切れるわけではありません。

■対応策はいくつか考えられる
以上が対応の前提となる法律知識です。
次に対応策ですが、いくつか考えらます。

対策1 BCに全ての遺産を残した上、Dに遺留分を主張された時に備えておく
AからBCに対して、遺言の内容を伝えた上、Dから遺留分を主張された場合に備えて、200万円をすぐ払える(価額弁償)ように準備するよう伝えておく
この価額弁償対策に、生命保険を利用する方法もあります。

対策2 BDに寄与分があるなら、Dに遺留分をされた場合に備えてきちんと証拠を残しておく
例えば預貯金800万円のうち、400万円はCの寄与(事業に関する労務の提供など)によるものであることを証明できれば、Dの寄与分は150万円になります。

参考ページ 4.特別受益、寄与分について

対策3 付言事項での遺留分を主張しないよう求める
法的な拘束力はありませんが、付言事項で「老後の世話をしてくれたBCの恩に報いたい。Dに遺留分減殺請求をしないことを希望する」と書いておくという方法もあります。

対策4 生命保険を利用する
実は生命保険の死亡保険金は遺産ではありません。
なので生前に保険契約を結び、お金を引き継がせたい人を受取人にすれば、そもそも遺留分の問題ではなくなるというのが原則です。
ただしこれも「到底是認できないほど著しい不公平が生じる場合」は別(最判平成16年10月29日)、とされているので、不確実です。

このように対応策は色々あります。上記に挙げたのは一部です。
しかしこの問題はお金の問題もさることながら、感情の混じるデリケートな問題のため、当「札幌にこやか遺言相続相談室」では、

・生き別れに至った事情
・現在DがAに対して抱いているであろう感情
 (Aを憎んでいるのか、など)

そして何より

・Aさんご本人自身がどう考えているのか
 (Dに一切相続させたくないのか、少しくらいは残したいのか、など)

をお聞きして、個別にご提案ということになります。
最初に「難しい質問」と申し上げたのは、こうした理由からです。

報酬・費用の目安(実費含む)
公正証書遺言作成支援 約8万3000円~(税別)

内訳
遺言案作成報酬(税別)  約5万0000円~
公証人費用        約2万8000円~   
諸費用(戸籍・登記簿等)   約5000円~
合計           約8万3000円~

オプション
証人の手配 1人につき5000円(税別)
公証人が出張する場合・病床執務・遺言の中に祭祀の主宰者の指定を含む
日当・旅費(公証人の基準による)

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