北広島にこやか遺言相続相談室

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Q4-7 遺言書がありますが、それと異なる遺産の分け方はできますか?

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■条件付きではあるが、可能
遺言書があれば、その分け方に従うのが原則です(民法第908条)。
しかしそもそも遺言書は通常、残された家族が揉めずに相続を済ませるために書かれるものです。
逆に言えば、遺言書と違う分け方をすることで相続人の揉め事を回避できるなら、故人にとってもそれが本望、という考え方もできます。
よって判例では、一定の条件付きではありますが、遺言書と異なる遺産分割を認めています(さいたま地判平成14年2月7日、東京地判平成13年6月28日、東京高判平成11年2月17日、大阪地方判平成6年11月7日)。

遺言書と異なる遺産分割が認められる条件
1.遺言者が、遺言と異なる遺産分割を禁じていないこと
2.遺言執行者がいる場合は、遺言執行と矛盾してないこと、又は、遺言執行者の同意があること

そして言うまでもないことですが、相続人全員が、遺言書の内容を知った上で、それと異なる分割をすることに合意していることです。
そうしないと次のような問題が起こりえます。

■遺言の存在を隠すのはNG

例えば相続人のうち、誰か一人だけが遺言書があることを知っているのに、他の相続人にそれを見せずに遺産分割したというのは話が違ってきます。
なぜなら錯誤無効(民法第95条)や、遺言書を隠した相続人の相続欠格(民法第891条5号)の問題が発生してくるからです。
詳細は下記のページをご覧ください。

参考ページ
Q4-8 遺産分割した後に遺言書の存在が発覚しました。どうすればいいですか?

このように遺言書があるを知って、あえて別の遺産分割することは不可能ではありませんが、後で気が変わり、「やっぱり遺言書の通りに」と主張されて争いに発展すると、弁護士に依頼せざるをえなくなり、多くの費用がかかります。

参考ページ
Q5-4 実際、相続争いになった場合の弁護士費用っていくらくらいですか?

これを防ぐため、きちんと書面に残しましょう。

■登記実務・税務上の注意点

さらに登記実務上の注意点もあります。
遺言が「特定の不動産を、特定の相続人Aに相続させる」旨のもの(特定財産承継遺言)であり、遺産分割により、相続人Bが相続することになったとします。
この場合、どのような登記を行うのでしょうか?

①遺言者→相続人B
②遺言者→相続人A→相続人B

①でいいような気もしますが、実は②の通り登記しなければなりません。
なぜなら特定財産承継遺言がある場合、遺言者が亡くなった瞬間、自動的にAに所有権が移転するからです。
なのでA名義への登記は省略できないのです。

また税務上の問題はどうでしょう?
A→Bの登記は、「贈与」を原因とします。
が、贈与税は発生しません。
ただしこれも条件があって、A→Bの移転が、遺言と異なる遺産分割であることがわかる書面を残すことです。

■費用の目安(税別)
1.遺産分割協議書作成
相続登記を伴わない場合 3万0000円~
相続登記を伴う場合   1万0000円~

2.相続人調査・相続関係説明図作成
相続登記を伴わない場合 3万0000円~
相続登記を伴う場合   1万0000円~
戸籍取得費用 1通1500円~2000円+実費300円~750円

加算要因
相続人が5人以上の場合、1人につき1000~2000円追加

3.相続登記
報酬 3万5000円~(不動産2個の場合)
実費 不動産固定資産額の0.4%
※事前・事後謄本各1通込

加算要因
不動産の個数が2個超、固定資産額が1000万円超、法務局における不動産の管轄が複数等

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