北広島にこやか遺言相続相談室

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Q 遺言はお金持ちだけが書くものですよね?

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■お金のない人ほど遺言すべき

遺言はお金持ちだけが書く。
よく聞く話ですが、これも偏見です。
偏見がある理由は2つです。
1.財産が多くないと、遺言をしても費用と見合わないと思っている
2.お金持ちしか相続争いは起きないと思っている。

まず1つ目ですが、お客さんに遺言をすすめると、よくこういうことを言われるんです。

「うちは遺言するほど財産は多くないから」

実はこの話ほど、専門家と一般の方とで温度差のある話はないんです。

はっきり言いますね。

全く逆です!

実は財産が少ない人ほど、遺言すべきなんです。
なぜでしょう?

■相続周りの手続報酬には「下限」がある

遺言があると相続手続が簡素化され、一般の方が自分で十分相続手続できるようになります。
しかし遺言がないと、戸籍集め、遺産分割などが発生します。
また法務局や銀行、証券会社、(相続税がある場合は)税務署と、関係各機関への申請も、弁護士・司法書士・税理士といった相続周りの手続・書類作成を弁護士・司法書士といったプロに頼む必要がでてきます。
財産が少ない人ほど、遺言すべき理由は、こうした相続周りの手続・書類作成の報酬に「下限」があるからなんです。

例1 預貯金払戻報酬

一番わかりやすいのが預貯金なので、これを例にとって話します。
例えばある事務所で預貯金の払戻し手続きの報酬が、「口座残高の1%」と設定されていたとします。
そうすると1000万円に対して10万円、500万円に対して5万円ですね。
ですが、残高100万円しかないから1万円でいいよ、とか、10万円しかないから1000円でいいよ、とは普通はならないです。
専門家も窓口に行ったり、時間・労力・経費がかかりますので、下限、例えば「うちは1銀行につき最低3万円はいただきますよ」という基準(下限)はどうしてもあるわけですよ。

300万円から取られる3万円と、10万円から取られる3万円って、同じ3万円でも重みが違いますよね? 

例2 特別代理人申立書類作成

もう一つ例を挙げます。

Q 夫が亡くなりましたが、子はまだ幼いので、全ての遺産を妻である私名義にするにはどうしたらいいですか?

こちらのページで詳しく説明している通り、未成年の相続人がいる場合、特別代理人の申立が必要です。
この書類作成を司法書士に依頼した場合の報酬の話をします。
残念ながら大規模なアンケート等による統計はないので、ホームページで報酬基準を公開している事務所を20件ピックアップした結果なのですが、だいたい4万5000円前後が肌感覚的な相場です。
遺産がそれほどもらえないのにこれがかかってしまう、と考えると、むしろ財産の少ない人の方が遺言書を作るべき、と言えませんか?

 ちなみにこういう話をすると、
「財産の少ない人からそんなに取るとはけしからん!」

というのをたまに言われるんです。
でもこれはどうかご理解ください。
司法書士に限らず、士業の報酬は責任料+人件費ですので、極端に財産が少ないから、極端に報酬を安くできる、というものではないのです。

■相続争いはお金持ちの専売特許?

 次に2つめの「お金持ちしか相続争いは起きないと思っている」という点について説明します。
一般の皆さんは、相続争いというとどうしてもドラマなんかでよくある

「莫大な遺産をめぐって骨肉の争い」

みたいものをイメージするようです。
しかし、現実には少ない遺産でも争いは起きます。

 論より証拠。
今、手に入る最新の情報である、2018年度の司法統計で、全国の家庭裁判所に持ち込まれた遺産分割事件を見てみましょう。
ちなみに家裁に遺産分割を申し立てる、ということは、一般論として、任意で話し合いがまとまらなかったから裁判所に持ち込まれた、つまり争いがあるケース、と考えていいと思います。
それを遺産の価額別に分けたのがこちらです。

出典:司法統計
52表 遺産分割事件のうち認容・調停成立件数(「分割をしない」を除く) 遺産の内容別遺産の価額別 全家庭裁判所

 ご覧の通り、33%が遺産額1000万円以下なんです。
 1000万円以下と言ったら、例えば私のいるような地方だと、住宅街の土地と古い一軒家、そして100~200万円の預貯金しかないようなごくごく庶民的なケースでも、当てはまりますよ。
 これ、一般の皆さんの相続争いのイメージとだいぶ違いません?
 これが現実なんです。

 なぜ少額なのに争うことになると思いますか?
 端的にいうと、理由は「感情」です。
 法律専門職の私がこんなことを言うのも何ですが、人間て結局、感情がまず先にあって、それに法律や損得がくっついてくるんですよ。
 特にこの相続の分野はそうです。
 相続人の間で少しずつつもったこれまでのわだかまりが、親という防波堤をなくしたことで一気に決壊する、そんなイメージです。
 そこに遺産の多い少ないは、関係ないわけなんです。

■遺言は「保険」。失うものは「家族の絆」

 もちろん最終的には、弁護士が入ったり、家庭裁判所に申し立てることで、遺産分割の問題は解決できます。
 弁護士報酬等が差し引かれますが、ある程度、遺産も手に入るでしょう。
 ですが、確実に失われるものがあります。
 それは家族の絆です。

 以前、酒の席である弁護士にこんな話を聞いたことがあります。
 「相続争いの案件は、こちらも精神的に本当にキツい。例えば離婚なら子どもや新しいパートナーとの生活、事業での紛争なら、これを乗り越えてもっと会社を大きくしよう、というふうに未来がある。でも相続争いには過去しかない。ひたすら相手に対する過去についての罵り合いを聞かされる。とにかくキツいんです」
 そんなことをおっしゃっていました。

遺言は「保険」です。
相続争いという「事故」は起きないに越したことはありませんが、備えは必要なのです。

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